今回はドラムパートの最後の仕上げ、ルームマイクのイコライジングについて説明をしていきます。
ルームマイクはドラムの空気感を決める重用なポイント。
それでは、実際の音作りを見ていきましょう。
ルームマイクEQのポイント
トップマイクと同じように、かぶりを考えながらイコライジングをしていく必要があります。
また、身もふたもない話ですが、「そもそも求める音にルームマイクの音が必要なのか」という部分も重要なポイント。
いつも通り、音の最終形をイメージしながら進めていきましょう。
ルームマイクのキーとなる周波数帯域
低域(〜200Hz)
ルームマイクの存在感を決める音域です。
低域をブーストすればアンビエンスの存在感が強調され、カットすると逆にスッキリとした音になります。
あまりシャリシャリした音にはしたくないけど、しっかりとアンビエンス感を出したい、という場合は低域をブーストしましょう。
中低域(300Hz〜800Hz)
このあたりをブーストする事によって、部屋が狭くなったような音になってきます。
やり過ぎると鼻をつまんだような音になるので注意。
中域(1kHz〜3kHz)
ジャリッとした感じをコントロールする音域。
ブーストすればアンビエンス感は増しますがローファイな感じに、カットすればあっさりとした音になります。
高域(4kHz)
シンバルやハイハットなど、金物のアンビエンス感を調整する音域。
いつもの事ですが、ブーストのしすぎは耳が痛い音になるので注意しましょう。
イコライジング例の紹介
今回は、トップマイクの有り無しも合わせて比較してみましょう。
イコライジング前の音
ルームマイク無し
ルームマイクのみ
ドラム全体
使用している音源は、Superior Drummer 2の標準キットをパラアウトで使っています。
アンビエンス感を強調する、ドンシャリ系EQ
- 30HzをQを広めに+5dB
- 5.3kHzをQを広めに+3.5dB
ルームマイクのみ
ドラム全体
ドンシャリなEQをかける事で、ハイファイさを失わないままアンビエンス感を強調しています。
今回はベル型のEQカーブを使っていますが、シェルビング型を使っても問題ありません。
低域をカットした、スッキリしたEQ
- 70Hz以下をローカット
- 200Hzを-2dB
- 6.5kHzを+4dB
ルームマイクのみ
ドラム全体
ローをカットする事で、だいぶスッキリとした音になりました。
アンビエンス感はありつつも、先ほどの音とは全く違う方向性になっている事がおわかりいただけるかと思います。
音量によるイメージの違い
最初に説明したとおり、特にルームマイクは音量によるイメージの変わり方が大きいパートです。
音量ごとにサンプルを用意してみたので、ちょっと聞いてみましょう。
ルームマイクパートを0dBに設定
ルームマイクパートを-5dBに設定
ルームマイクパートを-12dBに設定
ルームマイクパートをミュート
聞いていただければ、音量によってどれほど大きなイメージの変化があるのか、よくわかると思います。
イコライジングも大事ですが、まずは音量の調整をしっかりした上で音作りをしていきましょう。
まとめ
ルームマイクは、トップマイクと同じくらいドラム全体のイメージを左右します。
そして最初に書いたとおり、EQだけでなくその音量、またそもそもルームマイクパートを使うか使わないかで全く方向性が変わってきます。
EQをいじっても思い通りの音にならない時は、思い切ってミュートしてしまうのもひとつの手法です。
ひとつの部分にこだわらず、柔軟に考えてMixを進めていくのがドラムのイコライジングのポイントと言えるでしょう。
それでは、また。
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